平成18年 二度目の中国武術留学

2006年、夏。
二度目の少林寺武術館への留学。
2年前に少林寺を訪れたときから、様子がかなり変っている。
前に来た時は、少林寺武術館から少林寺までの参道は、整備中で泥道だったけれど、今では随分と舗装され、石畳と川と柳の並木が続いている。
二度目ともあって慣れてきたみたい。
沿道に並ぶ露店で買い物しながらの道中も楽しく、店主と値段の交渉をしながらの数珠や首飾りなどのお土産選びも自分で出来るようになった。
露店に並ぶ品物は、お店の人の手作りの物もあり手先の器用さに感心させられる。
一つ1元や5元という安さ。日本円にしてだいたい15円~75円。日本の露店と比べ、そのつつましさに驚かされる。
小道に沿って流れる川にかかる橋の上に、何かいることに気がついた。
え?なに?なぜラクダ?。。。いるはずのないものがそこにいる。。。そんな不思議な光景にびっくりした。
そういえば以前、先生の留学中の話に野良犬ならぬ野良豚がいたとかいなかったとか。。。
少林寺が近くなると赤い壁が続く。
その少し先に少林寺の門が見えてきた。
「うわぁ!見たことある!」開口一番、一緒に来た道場の子供たちの口から発せられた言葉。
素直な一言に子供たちの感動が、いっぱいに詰まっていた。
私も初めて「少林寺」を見た時の感動は、今でも鮮明に覚えている。子供たちにとっても初めて少林寺を見た感動は、一生忘れられない思い出となったことだろう。
以前一緒に武術留学したanmさんは、赤い壁に頬ずりをし、頬を真っ赤に染めてしまった。 それを見た仲間が、笑って教えてあげていたことを思い出した。。。その時も楽しかったなぁ。。。
少林寺に入ると、まず徳陽老師との面会となった。
いろいろとお話をされる姿が以前より少し痩せられたように見えた。
その後、徳陽老師が少林寺境内を案内してくださった。恐縮です。

中国留学生活は厳しく、キビキビとした素早い動き、用法にあった正しい動作、力強さ、目線・眼力。細かく指導がなされていく。
その指導を理解し物にできるかどうかは、集中力と真剣さが必要です。
用法を「ああかしら?こうかしら?」と、道場の子とお互いにトウロの中の技の使い方を試していると、wan老師がやって来て、実際に技をかけて教えてくれた。
その瞬間、なんとなく動いていた技に意味が生まれ、一つ一つの技のすごさが明らかになってゆく。
驚きの中、ますます集中力が増してゆく。
夢中になり過ぎて休憩時間に気付かず、練習を続けているとwan老師がまたやって来て、細かく細かく技の細部にわたって指導してくださる。 
言葉は通じなくても、前向きな姿勢で練習していると老師達にも通じるのでしょう。 なおさら熱心な指導を受けることとなる。 感謝。
トウロに合わせた柔軟法と基本功を体に覚えさせていく。
とはいうものの、練習はかなりハード。
今までにない動きに体がついてゆかず、全身筋肉痛となる。
休憩時間に入り、体が冷めてゆくと同時に痛みが蘇って来る。
練習が始り、体が温まってくると、また体が動くようになってゆく。
そんな練習を繰り返してゆくうちに、体のあちこちが故障してくる。 
右足前太腿の筋肉が切れたかも?踏んばることができない。
それでも痛みを無視して練習をしてゆく。
時々痛みを思い出させられるが、それよりもたくさんのことを身につけて日本へ帰りたいという気持ちが先にたち、練習に集中してゆく。
5日間で、ひとつのトウロを習得してゆく。
動きを覚えるだけなら楽だろうけど、用法や力の入れ方を習得してゆくとくなると、そうはいきません。
覚えの悪い私に、gao老師とfan老師が、私に実際に技をかけさせ用法を教え込んでゆく。
棍術の練習中、gao老師が棒を頭上に構え、私に力いっぱい振り下ろせと言う。
老師に向かって棒を振り下ろすぅ!?
途中で腰がひけてコツン。。。で・できません。。。いくらなんでも先生に向かってブツなんて
gao老師に苦笑されてしまった。 すみません。。。
それでも何度も何度も、繰り返し繰り返し、指導を受ける。
老師方に教えてもらったこと、大切に日本へ持って帰ります。感謝。
中国留学での最初の1週間は、1年間に感じられる。
しかし、後半の1週間は、飛ぶように過ぎてゆく。
そのころになると、日本に帰りたくないなぁ。。。と、そんなことを考えるようになってくる。。。

2度目は無いと、思っていた少林寺訪問。武術館への留学。
また、来てしまった。
少林寺を去るころには、「もう、来る事はないだろう」と、思いながらも、心のどこかで「また来るのかな」と、苦笑しつつ。。。満足感で満たされて戻って来ました。

 

2006年08月19日